>>> 25todayのトップページへ戻る

« トイ・シンフォニー Toy Symphony Company B制作 | メイン | Opera Australia 2008年シドニー夏公演 »

ミュージカル 「Billy Elliot」 ビリー・エリオット

シアターレビュー

完成度の高いミュージカルに新たな感動が沸き起こる

 2000年に世界中で大ヒットした映画「ビリー・エリオット(邦題:リトル・ダンサー)」が舞台化され、ミュージカル「ビリー・エリオット」としてロンドンのヴィクトリア・パレス劇場で幕を上げたのは2005年5月。レビューは総じて絶賛、9つのミュージカル賞を受賞し、150万人の観客を動員、今なお上演中で映画を上回る人気をもつ作品だ。
  そのミュージカル「ビリー・エリオット」がオーストラリアに初上陸するというから、前評判はかなり高かった。そして、約1カ月間に及ぶプレビューを終え、11月13日、堂々とシドニー公演が開幕した。 
  主役となる12歳の少年ビリーは、オーストラリア出身の4人の少年たち(Lochlan Denholm, Rhys Kosakowski, Rarmian Newton, Nick Twiney)が交替で演じる。ビリーの友人マイケル役、少女のデビー役にもそれぞれ4人の少年・少女たちが配される。その全員が、歌、ダンス、タップ・ダンス、バレエ、演技をこなし、まさに若いキャストの新鮮でエネルギーあふれるパフォーマンスがこのミュージカルの原点にあると言える。
  炭鉱夫の頑固な父(Richard Piper)、一風変わったダンスの先生、ミセス・ウィルキンソン(Genevieve Lemon)、物忘れが激しいがやさしい祖母(Lola Nixon)、父と同じ道を生きる炭鉱夫の兄トニー(Justin Smith)、そして友人の女装好きなマイケル(Thomas Doherty, Scott Eveleigh, Landen Hale-Brown, Joel Slater)が、主な登場人物。 
  舞台は1984−85年、イギリス北東部の炭鉱の町。保守党のマーガレット・サッチャー首相は生産性の低い炭鉱の閉鎖に踏み切る政策をとった。炭鉱夫たちはストライキに突入、警官との激しい衝突を繰り返し、1年間の長いストの末に政府の決断に屈する。決して明るいとは言えない時代を背景に、過去の産業に生きることしか知らない炭鉱夫たちの戦いと、その労働者階級に育つ少年が、当時は女の子だけのものとされていたバレエに目覚め、未来の世界へ飛び立つまでを温かく描いている。とにかく笑いあり涙あり、さまざまな人々の立場や感情が生き生きと描かれ、胸に迫ってくる。
  Lee Hallの原作と歌詞による本作は、ロンドン公演の演出家、Stephen Daldryが演出。ダンスの振り付けはPeter Darling、舞台デザインにIan MacNeil、衣裳デザインNicky Gillibrand、照明Rich fisher、そして作曲はエルトン・ジョンという飛びぬけて優れたクリエイティブ・チームが集結した。
  舞台デザインのスケールの大きさに始まり、キャストの個性や場面を生かす衣裳デザイン、明暗のコントラストを舞台いっぱいに活用した照明、そして歌とダンスとバレエでストーリーに豊かな色を付ける音楽と振り付け、すべてに隙がなく完璧なまでに統一されている。
  総勢70人に及ぶキャストたちのパフォーマンスは、シドニーでは久しぶりの大型ヒット・ミュージカル作品。

シアターレビュー

■あらすじ
  ボクシング・グローブとガードを着けたまま、間違えてミセス・ウィルキンソンのダンス教室に入り込んだビリーは、女の子たちの物まねをしながら初めてバレエというものを経験する。タバコを片手に横柄な態度で少女たちにバレエを教えている一見無責任なウィルキンソン先生だが、ビリーにバレエの才能を見出す。
  一方、炭鉱ストが起こり炭鉱夫と警官が衝突。炭鉱夫たちはダイナミックに「Solidarity(結束)」を歌い、徹底抗戦の構え。ビリーの友人マイケルは女装好きで「Expressing yourself(自己表現しよう)」と歌いながら、タップ・ダンスで思いきり自分を表現する。一方のビリーには、「バレエでは食っていけない」と反対する父と兄の存在が。
  悩むビリーは小さいころに死別した優しい母が残した手紙をウィルキンソン先生に見せる。亡くなった母は「常に自分に忠実でいてね」と「Dear Billy(親愛のビリーへ)」を歌う。
  季節はクリスマス、炭鉱夫たちは「Merry Christmas Maggie Thatcher(メリー・クリスマス、マギー・サッチャー首相)」を歌い、サッチャー首相を皮肉る。ストが続く中、将来が見えなくなってきた父はバレエをするビリーを見て、ひょっとしたら才能があるのかと「He could be a star(スターになるかもしれない)」と歌う。
  そして、息子を応援する決意をした父と一緒にロイヤル・バレエ学校のオーディションへ出向くビリー。審査員に「ダンスってなに ? 」と、最後に聞かれ「言葉で説明できない…。なんか、自分でコントロールできないフィーリングで、ダンスをしていると自分を忘れたり、失っちゃう。それが自分の全部のような感じもする…」と答え、「Electricity (電撃的な衝動)」を歌い、思いきりダンスを披露する。
  ついに炭鉱が閉鎖すると決定したその日、「Once we were kings(かつては王者だった)」と炭鉱夫たちは歌い、「常に自分に忠実に生きます」と亡き母の歌「Dear Billy(親愛なるビリーへ)」を母に語りかけるように歌うビリーは、ロンドンへと発つ。自転車に乗ってお別れをしてくれるマイケルにキスをして、ビリーは音楽学校へ !

シアターレビュー

 

information

▼会場:キャピトル・シアター(Capitol Theatre, 13 Campbell St., Sydney)
▼日時:火〜土7:30PM、マチネ水・土1:30PM、日3:00PM 
▼料金:$45〜$112.90 ▼予約Tel: 1300-136-166 
▼Web: www.ticketmaster.com.au(Ticketmaster)