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Opera Australia 2008年シドニー夏公演

シアターレビュー
恋人たちの切ないラブ・ストーリー「ラ・ボエーム」

2008年シドニー夏公演

 新年早々、「ラ・ボエーム」でシドニー夏公演を開幕したオペラ・オーストラリアは、続いて「シンデレラ」「カルメン」の上演を開始した。2月下旬からは「仮面舞踏会」を、3月には「アラベラ」を上演し、3月29日の「仮面舞踏会」で閉幕する。軽快で陽気なオペラ・ブッファの「シンデレラ」などバラエティーに富んだ夏公演は、オペラ・ファンのみならず、子どもや大人、初心者から常連まで楽しめるようにプログラムが工夫されている。特に、世界で最も人気の高いオペラの類である「ラ・ボエーム」と「カルメン」には人気が集中しているようだ。近年、シドニーのオペラは庶民に愛され身近なものになりつつあるが、特に夏公演はリラックスしながら気楽に楽しむムードが漂う。今回は、シドニー夏公演の5本のオペラを紹介する。


「ラ・ボエーム」La Boheme
プッチーニ作曲

 パリに住む若く貧しい恋人たちのロマンチックなストーリーを、甘く切ない旋律で散りばめたプッチーニの代表的な作品。いずれも悲劇に終わる女性を描いた「トスカ」「喋々夫人」と並ぶ人気作品である。
詩人のロドルフォ(Warren Mok)、画家のマルチェロ(Barry Ryan)、音楽家のショナード(Warrick Fyfe)、哲学者のコッリーニ(Jud Arthur)の4人の芸術家たちと、華やかで可憐なムゼッタ(Taryn Fiebig)とミミ(Hye Seoung Kwon / Antoinette Halloran)の美しい娘2人が繰り広げる悲劇のラブ・ストーリー。
  サイモン・フィリップス演出による今回の公演では、哀愁漂う1830年当時のパリに見られたボヘミアンの面影はなく、時代は現代、場所はシドニーのダウンタウン風。芸術家4人は、2階建てアパートの1階部分で雑然と生活している。そこで芸術家たちはラップトップ・コンピュータを使い、ドラッグを使用することも。フリー・マーケットや浮浪者が住む駐車場も舞台となる。しかし、この現代でもミミとロドルフォの熱く切ない恋は変わらない。ミミは、ロドルフォを愛しすぎるがゆえに離れ離れになり、最後には彼の側で息絶える。この切ない恋人たちを描く「ラ・ボエーム」は青春を賛歌するオペラで、今回の公演も優れた若手歌手が永遠の恋を再現する。見所は韓国出身のオペラ・オーストラリアでの公演も多い、ハイ・ソン・クォン(2月9日公演まで)が演じるミミ。肺病を患いながらロドルフォを深く愛するミミを、美しいソプラノの歌と演技で見事に演じている。

指揮:Tom Woods
上演:歌イタリア語、休憩2回を含む2時間30分
上演日:2月4・6・9・14・16・21日、3月5・14・20日、マチネ2月23日、3月1日


「チェネレントラ (シンデレラ)」Cinderella
ロッシーニ作

「セビリアの理髪師」「アルジェのイタリア女」に代表されるロッシーニの人気オペラ・ブッファ。「シンデレラ」の童話をオペラ化したものだが、かぼちゃの馬車やガラスの靴などの幻想的な要素を排除し、喜劇風に軽快なメロディーで描いた。しかし心の優しい娘が王子に見初められて結婚するというストーリーはおなじみのまま。義父のドン・マニフィコ(Richard Alexander)や義姉妹のクロリンダ(Taryn Fiebig)とティースベ(Jacqueline Dark)から過酷な扱いを受けながらも優しい心を失わないシンデレラ(本名はアンジェリーナ・Domnica Matthews)。そのシンデレラが、従者に変装した王子ドン・ラミーロ(Kanen Breen)、王子に変装した従者ダンディーニ(Joshua Bloom)と繰り広げる楽しく愉快な作品。マイケル・ヘンプ演出による「シンデレラ」は1987年7月に初演されたものだが、20年経った今日でもその品の良さと楽しさは変わらない。子どもから大人までたっぷり楽しめるオペラだ。

指揮:Brad Cohen
上演:歌イタリア語、休憩1回を含む2時間50分
上演日:2月5・8日、マチネ2月2日

シアターレビュー
子どもから大人まで楽しめる「シンデレラ」

 


「カルメン」Carmen 新プロダクション
ビゼー作曲

 スペインの情熱あふれる魅力的な音楽と恋愛を題材にしたフランス人ビゼーの作品。タバコ工場で働く、自由奔放なジプシーの娘カルメン(Kirstin Chavez/Catherine Kirby)と彼女の魅力に翻弄される、龍騎兵伍長を務める純情な男ドン・ホセ(Rosario La Spina)との悲恋を描いた人気の高い作品。2人の波乱な愛の物語は、「ハバネラ(恋は野の鳥)」「闘牛士の歌」「花の歌」などの美しい旋律で有名なアリアが散りばめられている。今回の公演はアメリカ人、フランセスカ・ザンベロ演出による新プロダクション。1830年ごろのスペイン・セビリヤを舞台に、当時の社会階級制度を意識した斬新な仕上がりで、馬やロバ、鶏などの動物たちがリアルに描かれている。メゾ・ソプラノの声量と演技力が要求される主役のカルメンは、アメリカ人のカースティン・チャヴェスが演じている(2月22日公演まで)。ロンドンのコベント・ガーデンにあるロイヤル・オペラ・ハウスでも上演された、この新プロダクションによる「カルメン」は好評上演中だ。

指揮:Richard Hickox
上演:歌フランス語、休憩1回を含む2時間50分
上演日:2月1・7・13・19・22・28日、3月1・4・6・8・12・15・17・26・28日、マチネ2月9・16日

シアターレビュー
大胆なシーンで迫力迫る「カルメン

 


「仮面舞踏会」A Masked Ball
ヴェルディ作曲

 イタリアの人気オペラ作曲家、ヴェルディ中期の傑作で音楽とドラマを緻密に結びつけた作品。華麗な舞踏会が舞台となる豪華なオペラでヴェルディの人気作品でもある。総督リッカルド(Dennis O'Neill)は親友で秘書のレナート(Michael Lewis)の妻アメリヤ(Nicole Youl)を密かに愛している。しかし2人の関係を知ったレナートは復讐を誓う。占い師の不吉な予言が当たり、総督リッカルドは仮面舞踏会で総督暗殺団に加わったレナートに刺される。
  充実した管弦楽と内容の濃いアリアが続く「仮面舞踏会」は、リッカルドのアリア「再びあの人にあえる」、リッカルドとアメリアの二重唱「私は君の側に」、レナートのアリア「お前だったのか」、そして最後はリッカルドの名アリア「永遠に君を失わん」が歌われる。

指揮:Andrea Licata
上演:歌イタリア語、休憩2回を含む2時間55分
上演日:2月20・23・26・29日、3月10・13・19・29日、マチネ3月8日


「アラベラ」Arabella 新プロダクション
リチャード・ストラウス作曲

 19世紀中葉、古き良き時代のウイーンで繰り広げられる恋物語と没落貴族の人間模様を描いた叙情的喜劇をリチャード・ストラウスが美しい旋律で仕上げた作品。破産寸前だった伯爵家の令嬢であるアラベラ(Cheryl Barker)は資産家のマンドリカ(Peter Coleman-Wright)と恋をして玉の輿にのる。アラベラの妹でボーイッシュなズデンカ(Emma Matthews)もまた仕官のマッテオ(Richard Roberts)と恋をして、家系も安泰というハッピー・エンドのストーリー。
  主役のアラベラにはオーストラリアの人気ソプラノ歌手チェリル・バーカー、そして実生活では夫であるピーター・コレマン・ライトがマッドリカ役で共演。2人の名コンビが注目されるオペラ公演。ジョン・コックス演出による新プロダクションの前評判も高い。

指揮:Richard Hickox
上演:歌ドイツ語、休憩2回を含む3時間10分
上演日:3月7・11・18・25日、マチネ3月15日

information

▼会場:シドニー・オペラ・ハウス、オペラ・シアター
▼時間:月〜金7:30PM、マチネ土1PM(全公演英文字幕付)
▼料金:$99〜$246
▼予約Tel: 1300-136-166 
▼Web: www.ticketmaster.com.au(Ticketmaster)