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ミュージカル Rocky Horror Show ロッキー・ホラー・ショー

シアターレビュー
ダイナミックな演技で観客を魅了する主役のアイオタ
洗練度の高い奇抜なコメディー・ミュージカル

 ヒットソング「タイム・ワープ」で知られる「ロッキー・ホラー・ショー」。1973年ロンドンの小劇場で初公演され一大センセーションを沸き起こし、映画でも大ヒット。リチャード・オブライエン(Richard O'brien's)作のこの「ロッキー・ホラー・ショー」は、わずか3カ月で書き上げられたものだが、35年経った今でもカルト的人気を誇るミュージカルだ。これまでにブロードウェイをはじめ、日本を含む世界各国で上演され、リバイバル上演も行われている。
 主人公は、バイセクシュアルでトランスヴェスタイト(服装倒錯者)。劇中では、下着姿で登場したり、エロチックで過激なシーンも多く、かなり刺激的な内容だ。しかし、ビートの効いたロックンロール調の音楽が、リピーターや新しいファンを着実に増やした。今や、時代の変化とともに人々の性に対する意識も変わり、同性愛や服装倒錯、バイセクシュアルであることは社会的に認められてきている。そんな現代を象徴するかのような同ミュージカルは、先月21日、シドニー・スター・シティーのスター劇場で盛大に開幕した。

 今回の公演で圧倒されるのは豪華なキャスト陣。特に、主役フランケン・フルター博士を演じる、シンガー・ソングライター、アイオタ(iOTA)のダイナミックな歌と演技は想像を絶するものがある。アイオタは昨年、「Hedwig and the Angry Inch」で舞台デビュー。その演技は絶賛を博し、一躍有名となった。舞台歴は浅いが、ゲイ風な身振りや動作、歌と演技にはパワフルな存在感が感じられる。博士の助手、リフ・ラフを演じるのは、ポール・カプシス(Paul Capsis)。劇やキャバレー、ミュージカル、映画で広く活躍しますます人気上昇中。マジェンタを演じるタムシン・キャロル(Tamsin Carroll)は、最近では、歌手ダスティー・スプリングフィールドを描いた「ダスティー」で見事に主役を演じるなど、迫力ある声量の持ち主で知られている。博士を愛する助手のコロンビアにはシャロン・ミラーチップ(Sharon Millerchip)。小柄な身体でありながら、パンチの効いた歌とコミカルな演技が得意だ。
 また、カップル役で登場する可憐なジャネットを演じるのは、期待有望な新人のケリー・ロード(Kellie Rode)。純粋な男性、ブラッドを演じるアンドリュー・ベヴィス(Andrew Bevis)はオーストラリアとロンドンで活躍する歌手。エディーとスコット博士の2役を演じるマイケル・コーミック(Michael Cormick)は、歌手・俳優として国際的な評価を得ている。ナレーターのジョン・ウォーターズ(John Waters)は幅広く活躍するベテラン俳優である。
 一方、クリエイティブ・チームも敏腕ぞろい。振り付けは、国際的に評価の高いジョン・オコーネル。オペラやミュージカルで活躍しているが、映画では『Shall We Dance』、現在はバズ・ラーマン監督の『オーストラリア』を手がけている。ジュリー・リンチによる衣裳、ダミエン・クーパーによる照明、ルーク・ハンターによる音楽とこちらも豪華。そして演出は、輝かしい賞を数多く受賞しているゲール・エドワーズと劇やミュージカル、オペラ、映画などで活躍しているオーストラリアを代表するプロ・クリエイターたちが見事に手掛けている。

 劇場に入ると、奇抜な衣裳をまとったキャストがあちらこちらに散らばって席を案内している。カラフルに飾られた舞台回りと薄暗い舞台とのコントラストが、これから始まるホラー劇をにわかに予想させる。
 幕が上がり映画館の案内人(タムシン・キャロル)が「SF怪奇映画2本立て」を怪しげに歌い終わると、場面は突然変わる。不思議な城、網タイツにハイヒールを履いたトランスヴェスタイトのフランケン・フルター博士の倒錯した世界。ブラッドとジャネットの純粋なカップルが、普通と思っていたことが普通ではないと意識するまでの怪奇な経験を描く。
 劇中に、「タイム・ワープ」「スイートな倒錯者」「強い男にしてみせる」「アイム・ゴーイング・ホーム」「スーパー・ヒーロー」などのロックンロール20曲を満載したこのミュージカルは、そのダイナミックな歌と振り付けに注目を ! 作品は成人向けだが、その奇怪な世界への偏見と理屈はご法度。オープン・マインドで鑑賞してほしい。

■ストーリー
 友人の結婚式でブラッドは、ジャネットにプロポーズし、2人は婚約する。出会いのきっかけをくれた恩師のスコット博士に報告するため、2人は車で出かけるが、途中、雷雨に襲われ森の中で車がパンク。助けを求め、彷徨っていると不気味な城に辿り着く。そこではフランケン・フルター博士と奇妙な連中たちがパーティーの真っ最中。フルター博士は“ロッキー(Simon Farrow)”という美男子の人造人間を造り、自分自身と結婚式を挙げてしまう。バイセクシュアルであるフルター博士は、性交渉の経験がないジャネットとブラッドを別々に誘惑し、関係を持ってしまう。博士の誘惑により性に目覚めたジャネットは、ロッキーの虜となってしまう。そこにスコット博士も現れ、城の中は大混乱。
 実は、フルター博士の正体は、トランスセクシュアル星からきた宇宙人。最後には、助手のリフ・ラフとマジェンタの兄弟に殺されてしまう。2人は仲間であるコロンビアとロッキーも殺し、トランスセクシュアル星へ戻って行く。城が消えた後、ジャネットとブラッドはこの奇怪な経験によって新しい自分を発見し、別々の道を進むこととなる。


シアターレビュー
迫力ある歌と演技でコロンビアを演じるシャロン・ミラーチップ
シアターレビュー
カップル役のケリー・ロードとアンドリュー・ベヴィス

information

▼会場:スター・シアター(Star Theatre, Star City, Sydney) ▼日時:火〜木8PM、金8:30PM、土5PM〜9PM、日3PM〜7PM(シドニー公演は9月まで予定) ▼料金:A席$89.89($99.90)、B席$79.90($89.90)(カッコ内は土9PM公演料金) ▼予約Tel:1300-136-166 ▼Web: www.ticketmaster.com.au (Ticketmaster)