Titanic/ミュージカル「タイタニック」
映画と異なる格調高いミュージカル
「タイタニック」といえば、1997年にケイト・ウィンスレットとレオナルド・ディカプリオの共演で公開された超大作映画『タイタニック』を思い出す人も多いはず。映画では、アイルランド人の貧しい移民ジャックと裕福な令嬢ローズが、当時世界最大の客船「タイタニック号」の船上で出会い、階級の違いを超えて恋をし、船の沈没によってはかなく消えた悲劇の恋を壮大なスケールで描いた。アメリカ国内のみでの総合興行収入は歴代最高の6億ドルを記録する映画史上に残る記録的なスマッシュ・ヒットとなった。
ミュージカル「タイタニック」はその映画が放映される前、同年の1997年にブロードウエイで公開され、最優秀ミュージカル賞を含む5つのトニー賞に輝いた作品。ブロードウエイ公演を終了してから、アメリカで公演を行い、オランダ、カナダでも公演。オーストラリアではシドニーでこの10月26日開幕した。
ミュージカル「タイタニック」は映画と異なり、ジャックとローズは登場しない。ミュージカルでは、1912年4月10日にイギリスのサウスハンプトンからニューヨークへ向けて処女航海に出航した豪華客船「タイタニック」号が、大西洋航行中の4月15日に氷山に衝突して沈没し、1,500人以上の客員が命を失うまでの事実を、実在の人物を登場させて描いた。
劇中では、造船建築士、船の持ち主を取り巻いた船長室でのやりとり、ベンジャミン・グーゲンハイムやメイシーズ・デパートの持ち主、ストラウス夫妻を含む1等客室の大富豪の船上の生活、中産階級の2等客室の人たち、そしてアメリカに夢を抱く若い移民の3等客室の異なる階級をドラマ化。第1幕は豪華客船に乗船する人たちの期待と夢、第2幕は船が沈没していく模様と死に直面する人の姿勢を描いた。
ミュージカル「タイタニック」は、脚本家ピーター・ストーンとモーリー・イェストンの音楽による作品。オペラ歌手のジョーン・カーディンを含む総勢たるキャストでおくる。ストーリーを反映したオリジナル音楽は、陽気な曲やメランコリックな曲など多彩。デュエットや「Godspeed Titanic」の力強い合唱など、オペラ的なオリジナル・ソングで飾られる。
舞台は各階級の生活をデッキの上下で表現し、デッキの角度が上がるごとに沈んでいく船をイメージさせるシンプルだが効果的な構成。衣装も当時の階級の違いを忠実に表現している。ジョン・ディードリッヒ演出によるオーストラリア版「タイタニック」は、人間ドラマや超大型スケールなどエンターテイメント性に富んだ映画『タイタニック』とは異なる、上質で格調高いミュージカルと言える。
information
▼劇場:Theatre Royal, 108 King St., Sydney NSW
▼公演日時:火7PM、水〜土8PM、マチネ水1PM、土2PM、日3PM
▼料金:火〜金&平日マチネA席$89、B席$79、水マチネA席$79、B席$69、土A席$95、B席$85
▼予約:Ticketek
▼Web:www.ticketek.com.au