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2007年09月04日

Opera Australia IlTrittico/三部作 プッチーニ作曲

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磨きがかかったチェリル・バーカーの魅力満載

 珠玉の1幕オペラを1つにまとめた連作「三部作」は、プッチーニが完成させた最後のオペラ。パリで観た人形芝居と、ダンテの「新曲」の地獄篇・浄罪篇・天国篇の3部構成にヒントを得て構想したと言われる。
  各幕は1時間に満たないが、プッチーニの美しい旋律と歌が3幕にわたって存分に味わえるドラマ性に富んだ印象的な作品。ヴェリズモ風の暗い悲劇「外套」、宗教的な悲劇を描いた「修道女アンジェリカ」、プッチーニでは珍しいオペラ・ブッファ(喜劇的なオペラ)の「ジャンニ・スキッキ」という3つの異なる性格を持ったオペラで構成されている。
  1918年に完成された同作品は、世界大戦のためにヨーロッパでの公演ができず、ニューヨークのメトロポリタン劇場で同年12月14日、初演された。今回のオペラ・オーストラリアの公演は、1973年のシドニー初演時と同様、モファット・オクセンボールド演出のプロダクションが再び手掛ける。各幕に登場する主役の女性を、オーストラリアの人気ソプラノ歌手、チェリル・バーカーが通して演じ切り話題を呼んでいる。最近、声と演技にますます磨きがかかり、オーストラリアの代表的なソプラノ歌手としての地位を築きつつあるバーカー。今公演では、実生活で夫のジョナサン・サマーズと共演。ともに国際舞台で活躍する2人の息の合った演技も作品の魅力の1つとなっている。
  また、第3幕でジャンニ・スキッキの娘のラウレッタが歌うアリア「私の優しいお父さま」は美しい旋律でよく知られる曲である。

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■あらすじ
第1幕
「Il Tabarro/外套」

  1900年ごろのパリ。セーヌ川に浮かぶ伝馬船の船長ミケーレ(Jonathan Summers)は、若い妻のジョルジェッタ(Cheryl Barker)と雇い人の沖仲士のルイージ(Denise O`Neill)が恋仲であることに気付き、船上でルイージの首を絞めて殺してしまう。そこへ妻が戻ってきたため、その死体を自分の外套で包み隠す。

第2幕 
「Suor Angelica/修道女アンジェリカ」

  17世紀後半のイタリア。7年前、公爵令嬢でありながら未婚で子を産んだため修道院へ入れられたアンジェリカ(Cheryl Barker)。遺産相続の件で修道院を訪れた冷徹な伯母(Milijana Nikolic)から愛しい息子が2年前に死んだことを知らされ、絶望したアンジェリカは薬草で毒を調合し、死を選ぶのだが…。

第3幕 
「Gianni Schicchi/ジャンニ・スキッキ」

  金持ちのブオーゾは遺産のすべてを修道院に寄付する遺言状を残して死んだ。遺産目当ての親類たちは怒り、ブオーゾの友人であるジャンニ・スキッキ(Jonathan Summers)に相談する。スキッキは欲深い親族にあきれ果てるが、ブオーゾの親戚であるリヌッチオと婚約している娘のラウレッタにもせがまれて、問題解決に乗り出す。そして、スキッキは自分がブオーゾになりすまして、遺言状を書き換えることを提案する。その遺言状とは…。

▼上演時間:3時間30分(休憩2回)、歌イタリア語(英文字幕) ▼会場:オペラ・シアター(Opera Theatre, Sydney Opera House)▼上演日時:9月12・15・19・22・26日、7:30PM〜 ▼料金:特別席$228、A席$183、B席$130、C席$99 ▼予約
▼Web:

Opera Australia Rabbit Hole/ラビット・ホール

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心の傷をウィットに富んだ表現で昇華

 2006年2〜4月にブロードウェイで上演された「ラビット・ホール」は、07年のドラマ部門ピューリツァ賞を受賞した、デイビッド・リンゼイ=アベアーのドラマ作品。ある家庭に起こった不幸、心の葛藤を、家族や友人たちの交流を通して描く。ブロードウェイのヒット作品を多数上演するアンサンブル劇場の最新作であり、人間ドラマには定評がある同劇場のアーティスティック・ディレクター、サンドラ・ベイツが演出を手掛けている。
  比較的小さな劇場を目いっぱいに活用した2階建ての舞台セットで、キッチン、居間、そして子ども部屋を舞台に物語は繰り広げられ、観客はキャストに親近感を抱かずにはいられない。オーストラリア人人気女優のジョージー・パーカーを中心に息の合ったキャストの演技と、緊迫感の中にもユーモアを含んだ人間ドラマは、日常生活で起こり得る喪失と自責、深い悲しみを丹念に描き、最愛の人がいない世界での生き方を問う。

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■あらすじ
 ベッカ(Georgie Parker)とハウイ(Mark Kilmurry)夫婦の幸せな家庭は、4歳の1人息子の交通事故死により一変。幼い息子を失った悲しみから夫婦の間には溝が生じ始めていた。夫のハウイは悲しみの中でもなんとか夫婦関係を修復しようと努力するが、ベッカは深い悲しみから抜け出せないでいる。
  ベッカの母ナット(Lorraine Bayly)もまた、息子であるベッカの兄が麻薬中毒死したことの悲しみを抱えている。一方、自由奔放に生きるベッカの妹リジー(Queenie van de Zndt)は、短い恋愛で妊娠したことを告げ、家族をうろたえさせる。そんな中、夫婦の息子の死を招いた自動車を運転していた若者、ジョナサン(Jonathan Prescott)が訪ねて来る。家族との感情のやりとり、若者との面会によりベッカは次第に深い心の傷が癒されていくのを感じる。

▼会場:アンサンブル・シアター(Ensemble Theatre, 78 McDougal St., Kirribilli)▼上演日時:〜9月22日、火〜金8:15PM 土5PM、 8:30PM 日5PM 木11AM
▼料金:$37〜$61 ▼予約
▼Web: www.ensemble.com.au