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2007年02月05日

The Marriage of Figaro/フィガロの結婚

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 モーツァルトの作品の中でも今でも絶大な人気があるオペラ「フィガロの結婚」。原作はフランスの劇作家、ボールマルシェ。当時の身分制度を否定した「フィガロの結婚」は登場人物の地位や性格、行動がモーツァルトによって見事に音楽と歌で結ばれた、楽しいオペラ・ブッファ。愛と性を複雑に入り混ぜたたわいもないストーリーと、モーツァルトのよく知られた旋律と歌がたっぷりの魅力あふれる不朽のオペラだ。
 1786年ウィーンで初公演された「フィガロの結婚」。オーストラリアでも異なるプロダクションで数多く公演されているが、今回のシドニー公演は2001年に初公演されたプロダクションのリバイバル。シドニーのベルヴォア・ストリート劇場のアーチスティック・ディレクターを務めるニール・アームフィールドによる演出で、18世紀のストーリーを洗練された舞台と衣装デザインで目を楽しませる。特に大きなカーテンを大胆に活用した舞台は斬新。登場するオペラ歌手は笑わせる演技力と歌に優れたキャストが勢揃い。夫人との愛にさめて、すきをみては小間使いのスザンナを狙うよこしまな伯爵や、性の欲望を抑えかねる小姓のケルビーノ、伯爵の愛を失って悲しむ伯爵夫人、そして一刻も早く結婚式をあげたい伯爵の従僕フィガロと恋人のスザンナ。恋愛でもつれる伯爵邸で起こった1日の出来事を歌と演技で愉快に表現する。

■ストーリー
 セビリヤに近いアルマヴィーヴァ伯爵邸。伯爵(Jose Carbo)の従僕フィガロ(Joshua Bloom)は伯爵夫人の侍女スザンナ(Tiffany Speight)との結婚の準備に忙しい。伯爵はなんとかスザンナをものにしようとしているので2人の結婚には同意しない。小姓ケルビーノ(Sally-Ann Russell)は女なら誰でも迫りたい年ごろ。「自分で自分がわからない」と歌う。伯爵はそんなケルビーノに対して妻の伯爵夫人にも迫っているのではないかと、軍隊に送り出す命令を出した。「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」とケルビーノを笑う。夫の愛を失って嘆く伯爵夫人(Leanne Kenneally)は「愛の神よみそなわせ」と悲しむ。伯爵夫人にお別れを言いに来たケルビーノは「恋とはどんなものかしら」と歌う。
 フィガロは伯爵夫人とスザンナの協力を得て、伯爵を罠に陥れ、2人の結婚を承諾させるようにした。ところがその準備をしている時に伯爵が突然と現れて、あやうく発覚寸前。それを逃れたと思ったら、フィガロにもうひとつ難関が待っていた。昔、女中頭マルチェリーナ(Adele Johnston)に金を借りて、返却できない折には結婚をするという証文に同意していたのだ。
 医師のバルトロ(Jud Arthur)と組んだマルチェリーナは裁判でフィガロの体にあざがあることを知り、フィガロが生まれて間もなく離ればなれになった息子であると大喜び。バルトロとマルチェリーナの2人も同時に結婚式をあげる決心をする。
 伯爵を懲らしめる策略はフィガロの知らないところで計画通り実行され、伯爵夫人とスザンナは「手紙の二重唱」を歌う。暗闇の密会で伯爵は伯爵夫人扮したスザンナに愛をささやく。伯爵夫人はその場をうまく逃げて、伯爵は木陰に隠れる。伯爵夫人がスザンナになっていると知らないフィガロは、伯爵が伯爵夫人扮するスザンナを口説く様子を見て女を信じられなくなり「よく目を開けて見ろ」と歌う。そこで彼はスザンナ扮する伯爵夫人に言い寄り浮気を持ちかける。スザンナはそんなフィガロに怒るが、「声ですぐ分かった」と説明されて、2人は仲直り。そこに伯爵が現れ、伯爵夫人の衣装を着たスザンナは、スザンナを伯爵夫人と疑わない伯爵に責められる。伯爵は絶対に許そうとしない。そこにスザンナに扮した伯爵夫人が現れて、初めてすべてを悟る伯爵。伯爵は夫人に許しを請い、フィガロとスザンナの結婚を許可。最後は全員がハッピー・エンドの大合唱。
 
指揮はAlexander Briger。歌イタリア語、英文字幕。上演3時間、休憩1回。

information
▼上演会場:シドニー・オペラ・ハウス・オペラ・シアター
▼料金:プレミアム席$228、A席$183、B席$130、C席$99、D席$54
▼Web:
▼上演日:2月2・7・16日、3月17・22・29・31日7:30PM〜マチネ2月10日、3月24日1PM〜

La traviata/椿姫

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 「椿姫」は高級娼婦のはかない恋を描いたヴェルディの傑作。歴史物語や英雄伝をオペラ化したヴェルディが「トアヴィアータ」(道をはずした女)を描いた叙情的なオペラ。パリの裏社交界の花形歌姫で恋多きヴィオレッタが、由緒ある家系の好青年アルフレードと恋に落ちるが、彼の父の願いで身を引くという、純粋な愛に生きる悲劇を描いた作品。印象的な暗い前奏曲に始まり、「乾杯の歌」の合唱、ヴィオレッタのアリア「ああ、そはかの人か」、「花から花へ」、「過ぎ去りし愛の日々よさらば」、2重唱「パリを離れて」など、情熱的で美しい旋律と歌が散りばめられている。
 今回のシドニー公演は1994年に初演されたエリジャ・モシンスキー演出によるプロダクションのリバイバル。第1幕のヴィオレッタとアルフレードが出会う華やかなパリの社交界、第2幕の2人が住むパリの郊外の別荘、そして第3幕の離ればなれになり病床にいるヴィオレッタのがらんとしたアパート。対照的な場面の雰囲気を生かした演出が印象的で、13年目を迎えるプロダクションとは思えない新鮮さを感じる。歌姫ヴィオレッタはロシア出身のソプラノ歌手、エルヴィラ・ファツクホヴァが大胆にそして可憐に演じる。声、演技、美貌に恵まれた彼女は第1幕から最後まで舞台に立ちっぱなしの大役を見事にこなす。

■ストーリー
 パリの裏社交界。ヴィオレッタ(Elvira Fatykhova)のサロンでは貴族たちと高級娼婦が華やかに夜会を楽しんでいる。その中にヴィオレッタを真剣に愛するアルフレード(Rosario La Spina)がいた。ヴィオレッタは彼の気持ちに動かされ、やがて、2人はパリ郊外に別荘を借りて同棲を始める。裕福な家庭で育ち生活力のないアルフレード。ヴィオレッタは隠れて財産を少しずつ処分していた。ある日、アルフレードの父、ジェルモン(Warwick Fyfe)が現れて、家の名誉のために息子と別れるようヴィオレッタに嘆願する。真実の愛のために身を引いたヴィオレッタは、この時すでに肺の病におかされていた。やがて財産も売りつくし貧しいアパートでの生活。女中のアンニーナ(Rosemarie Arthars)に看病されて、死の床に伏している。そこにアルフレードとその父ジェルモンが現れる。父から真実を知らされたアルフレードが戻ってきたのだ。2人で生活を始めようと抱き合い、ヴィオレッタはその喜びに最後の力を振り絞って立ち上がるが、力尽きて愛するアルフレードに抱かれて息絶える。

指揮は Giovanni Reggioli。歌イタリア語、英文字幕。上演2時間50分、休憩2回。

information
▼上演会場:シドニー・オペラ・ハウス・オペラ・シアター
▼料金:プレミアム席$228、A席$183、B席$130、C席$99、D席$54
▼Web:
▼上演日:
2月6・9・14・17・24・28日、3月2・7・10日7:30PM〜、2月20日8PM〜、マチネ2月3日1PM〜