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Opera Australia 2007年シドニー・ウインター・シーズン開幕

 オペラ・オーストラリアの恒例のウインター・シーズンが6月26日、「セルビアの理髪師」で華々しく開幕した。今ウィンター・シーズンはオペレッタからグランド・オペラ、そして伝統的作品から現代作品まで、バラエティーに富んだプログラムが予定されており、11月3日に行われる「ゴンドラを漕ぐ人」を最終公演に、全8作品が上演される。

楽しさ満載のオペラを現代風にアレンジ。
斬新性を強調した新プロダクション

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■The Barber of Seville
「セビリアの理髪師」/ロッシーニ作曲

 
  ロッシーニのオペラの中でも最もよく知られ、親しまれているオペラ・ブッファ(軽快で愉快なオペラ)、「セビリアの理髪師」。主人公、床屋のフィガロは街の何でも屋。伯爵と町娘の仲立ちをして、結婚させてしまうという話だ。モーツァルト作曲の「フィガロの結婚」はストーリー的には後日談にあたる。今回の公演は西オーストラリア州で活躍するジョン・ミルソンによるオペラ・オーストラリア初の演出とあり、前評判も高い。

○ストーリー
  時は1930年代、場所はセルビアのヘルス・スパという現代風な設定。舞台上のアール・デコ調の装飾が観客の目を引く。フィガロはそのリゾートでヘア・サロンを経営している。若いアルマヴィーヴァ伯爵は街一番の美人、ロジーナにひと目惚れするが、ロジーナにはリゾートの持ち主であるバルトロという欲張りで厳格な後見人がいる。そこで、アルマヴィーヴァ伯爵はフィガロに相談。フィガロは箱入り娘のロジーナと伯爵を、後見人の目を盗んでめでたく結婚させるという、コメディー・タッチのストーリーだ。
  フィガロ役には、2004年オペラ・オーストラリア公演の同題オペラでフィガロを演じ、好評を博したホセ・カーボが再び同役を熱演。町娘のロジーナにはソプラノ歌手のアメリア・ファルギアが始めて同役を演じるなど、歌と演技に優れたキャストが勢ぞろいしている。
  第1幕1場、フィガロが舞台に登場する時に歌う「私は町の何でも屋」や2場のロジーナの華やかなアリア「今の歌声は」など、軽快なメロディーで愉快なアリアが随所に盛り込まれており、聴き所が多い。第1幕のフィナーレには思わぬ展開が待ち受けており、ストーリーは一気に佳境へ。オペラ・ブッファ最大の見所でもある。

▼上演時間:2時間50分(20分休憩1回)、歌イタリア語(英文字幕)▼指揮:Richard Bonynge (7月14日公演まで)Brian castle-Onion ▼上演日:7月4日、7日マチネ、10日、12日、14日、21日マチネ、24日、27日、31日、8月3日、7日、9日、11日マチネ、15日、18日、24日、30日

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■Il Trovatore「イル・トロバトーレ」/ヴェルディ作曲
  原作は15世紀のスペインが舞台だが、エルケ・ネイハード演出のこの作品では20世紀のスペイン市民戦争を舞台にしている。美女をめぐる兄弟の宿命の戦いをドラマチックに表現し、音楽は勇壮で流麗な旋律が続く、典型的なイタリア・オペラ。

▼指揮:Sir Richard Armstrong  演出:Elke Neidhardt ▼上演時間:2時間35分(25分休憩1回)、歌イタリア語(英字幕) ▼上演日:7月3日、7日、11日、14日マチネ、17日、20日、25日、28日、30日、8月4日マチネ


■The abduction from the Seraglio
「後宮からの逃走」/モーツァルト作曲

 トルコの後宮にさらわれた恋人、コンスタンツェを救出するためにトルコにやって来るベルモンテ。トルコを舞台に、当時の異国趣味がモーツァルトの音楽に反映されたオペラ。オーストラリア人ソプラノ歌手、エマ・マシューズが初めて演じるコンスタンツェに期待。

▼指揮:Jonathan Darlington 演出:Michael Gow ▼上演時間:2時間45分(20分休憩1回)、歌ドイツ語(英文字幕)▼上演日:7月13日、18日、21日、28日マチネ、8月1日、4日、10日

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■A Streetcar Named Desire
「欲望という名の電車」/アンドレ・プレヴィン作曲

 テネシー・ウイリアムズ原作劇。4つのオスカーに輝いた、マーロン・ブランドとビビアン・リー主演よる同名映画は有名。ピアニスト、作曲家、指揮者として知られるアンドレ・プレヴィンが初めて作曲したオペラ作品。オーストラリアのベテラン・ソプラノ歌手、イヴォンヌ・ケニーをはじめ、若手のテファニー・スペイト、テディー・タフ・ローデスが出演する。オーストラリア初公演。

▼指揮:Tom Woods 演出:Bruce Beresford ▼上演時間:3時間20分(20分休憩2回)、歌英語(英字幕) ▼上演日:8月2日、8日、11日、14日、18日マチネ、25日、29日

■Il Trittico「三部作」/プッチーニ作曲

 珠玉の一幕ものを1つにまとめたプッチーニの傑作。世界の舞台で活躍するオーストラリア人オペラ歌手、チェリル・バーカー、ジョナサン・サマーズ、エリザベス・キャンベルが終結した豪華キャスト、素晴らしい演出で楽しさも3倍。

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○ストーリー
第1部 Il Tabarro「外套」

  時は1900年ごろ。パリのセーヌ川に浮かぶ伝馬船の船長ミケーレは若い妻のジョルジェッタと雇い人の沖仲士のルイージが恋仲であることに気付き、船上でルイージを絞め殺す。しかし、そこへジョルジェッタが戻ってきたため死体を自分の外套で包み隠し…。

第2部 Suor Angelica「修道女アンジェリカ」
  17世紀後半のイタリア。7年前に未婚で子を産み修道院へ入れられたアンジェリカ。妹への遺産相続の件で修道院を訪れた厳しい伯母から、愛しい息子が2年前に死んだことを知らされる。絶望したアンジェリカは薬草で毒を調合し、死を選ぶ--。

第3部 Gianni Schicchi「ジャンニ・スキッキ」
  金持ちのブオーゾは、遺産のすべてを修道院に寄付する遺言状を残して死ぬ。怒った親類は友人のジャンニ・スキッキに相談する。スキッキは自分がブオーゾになりすまして、公証人を呼び新しい遺言状を書き換えることを提案。その遺言状とは…。

▼指揮:Andrea Licata  演出:Moffat Oxenbould ▼上演時間:3時間20分(25分休憩2回)、歌イタリア語(英字幕) ▼上演日:8月17日、22日、28日、31日、 9月12日、15日、19日、22日、25日マチネ、26日

■The Tales of Hoffmann「ホフマン物語」
  /オッフェンバック作曲

 オペレッタで成功したオッフェンバックの本格的なオペラ。完成前に死去したため、友人のギローが後を継いで完成させた。主人公ホフマンの失恋を重ねたオムニバス形式の幻想的オペラ。

▼指揮:Richard Hickox  演出:Elke Neidhardt ▼上演時間:2時間50分(20分休憩1回)、歌フランス語(英字幕) ▼上演日: 9月1日、11日、14日、17日、20日、25日、10月3日、6日、9日、12日、15日、29日マチネ

■The Gondoliers「ゴンドラを漕ぐ人」
  /ギルバート&サリヴァン作

 オーストラリアの有名なエンターテイナー、レジ・リバモアをはじめ、ベテラン・オペラ歌手のジュディ・コネリーやジョン・ボルトン・ウッドが演じるカラフルなコメディー・オペレッタ。

▼指揮:Stephan Mould 演出:Stuart Mdaunder ▼上演時間:2時間50分(20分休憩1回)、歌英語(英字幕) ▼上演日: 9月18日、22日マチネ、27日、29日、10月2日、4日、6日マチネ、10日、13日マチネ、13日、17日、18日、19日、24日、25日、26日、29日、31日マチネ、31日、11月1日、3日マチネ、3日

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■Tannhauser「タンホイザー」/ワーグナー作曲

 官能の世界と清純な世界の両方を魅惑的に描いた、中世ドイツを舞台にしたロマンチックなオペラ。1845年ドレスデン宮廷劇場で初演されたオリジナル(ドレスデン版)と1861年パリの上演でバレエが拡大されて大きく改訂された(パリ版)、そしてその折衷版がある。主役タンホイザーはオーストラリア人テノール歌手グレン・ウインスレードとイギリス人テノール歌手リチャード・バークレースティールの2人が交替で演じる。

▼指揮:Richard Hickox 演出:Elke Neidhardt ▼上演時間:3時間50分(20分休憩2回)、歌ドイツ語(英字幕) ▼上演日:10月8日、11日、16日、20日、22日、23日、27日、30日、11月2日